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カードの使い方で人生が左右される

さらに、銀行や不動産業者にとって、スコアは大切な商売道具になっている。先般のサブプライムローン問題は、このクレジットスコアが大活躍した例として記憶に新しい。本来住宅ローンを借りられない人たち、スコアでいうと620点以下の人たちを選んで、その人たちに限ってセールスをかけたというわけだ。その結果、当然のように住宅ローンの焦げつきが続出して今のような大問題になっているのだが、こうした金融商品を絡めたマーケティングにもスコアは役立っている。そして、このスコアが登場したおかげて米国では、クレジットカードと銀行の金融商品が結びつき、様々なビジネスが生まれ、繁栄し、クレジットカードの利用を元にした信用重視社会が構築されたのだった。

そして、こうしたクレジットカードの使い方次第で人生が左右されるといった人類史上初めての社会が生まれたのである。今日本もその道を歩もうとしているのであり、すでにフェア・アイザックは日本版クレジットスコアの検討に入っているといわれている(仮に同社が我が国でクレジットスコアの業務を手がけるようになれば、米国ででているクレジットスコアと日本版のそれをうまくリンクさせて、日米で同じ金融商品を同じレベルの富裕層にセールスするといったことも可能になるのではないか)。いずれにしろ、高い点数を持つ富裕層にとって、スコアの登場で、金融はさらに有利な展開が期待できるようになる。預金金利も優遇されるし、ローン金利も優遇される。

あらゆる意味で富裕層にとっては有利になる。一方のフリーターや派遣社員は悲惨である。クレジットカードを作れなかったり、もてなかったりすると、ヒストリーがつくれないし、ヒストリーがないと、スコアもつくれないため、住宅ローンなど金融商品の利用ができなくなるのだ。また、ヒストリーはつくれても、スコアの点数が低い人たちも悲惨である。もたざるものはローンを借りるとしても高い金利がかかるし、預金の金利は低いため、貯まるものも貯まらない。その結果、スコアの低い貧しい人たちはますます貧しくなり、一方の富める人たちはますます効率的に金儲けができる。

それによって、富めるものはさらに富むという格差が際立ってくる。信用格差社会とも呼べる社会がやってくるのだ。この格差については、今後、問題になるだろうが、しかし、クレジットカード陣営としては、あえてこの信用格差社会を持ち込むことで、一発逆転で、電子マネー陣営を打ち負かすことができるのだ。電子マネーに振り回されず、クレジットカードが主役になる社会がやってくる。それが見えてきたから、クレジットカード陣営は、今度の信用情報一本化には大きな期待を寄せているのだ。一方、カード利用者にとっても、これは大きな変化になってくるだろう。

クレジットスコアの登場によって、身近な金融への取り組み、考え方が一変することは確かだ。これまでのような万人に対する一定の金利といった考え方は通用しなくなる。これからは個人のスコアに応じて住宅ローン、預金、リボルビング払いまで金利はすべて変わるというのが常識となる。そのため人々の関心はクレジットカードの使い方に大きく移っていくのではないか。いかに上手に使い、点数をあげるかを競うようになるだろう。それによって、クレジットカードは電子マネーをはるかに上回る重要な決済ツールとして確立するだろう。