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躍進する電子マネー②

●金銭感覚がマヒする
「金銭感覚のマヒ」という現象がみられるようになった。たとえば、東京では地下鉄は料金の安い東京メトロと少し高い都営線があるが、JRから乗り換える場合にこれまでは都営線は高いからと無理に遠回りしても東京メトロを使うようにしていた。しかし、電子マネーになってからは、ワンタッチで行けるからと、値段より近ければよいという考えで都営線にもどんどん乗るようになった(当然、都営線は収入が増えていると思うが)。電子マネーは利用する人に多少高くとも便利ならよいという感じを起こさせる。買い物でも同じ傾向がある。

一千円の商品を正札通りで売っている店と九百九十円で売っている店があった場合、現金なら迷わず、遠くにあっても九百九十円の店で買うのだが、電子マネーになると、十円くらい安いだけでは、より近くにある一千円の店で買ってしまう。安売りがそれほど魅力にならないのだ(電子マネーになると九百九十円はそれほど魅力ではない。端数がでるので面倒という人もあるくらいだ。電子マネーなら決済は早いし一千円の方が切りがよくて、すっきりしていてよいという考えだ)。電子マネーにすると、紙幣やコインに縛られなくなる傾向があり、これまでのような金銭感覚でない新しい何かが生まれつつある。子供たちがいまパスモをもって電車に乗り降りしているが、彼らは知らぬ間に、こうした新しい金銭感覚をトレーニングされているといえる。そう思うと彼らが大きくなったときに日本人の金銭感覚はいまとは比べることができないくらいに変化していることだろう。

●高齢者に希望を与える
電子マネーは老人に活力を与え、彼らを生き生きさせる効果をもっている。あるスーパーでは、電子マネーを使うと割引になるサービスを行なっている。この店では、高齢者が電子マネーをよく使うという。高齢者は非接触ICの清潔さと小銭のやり取りの煩わしさがないことを評価して電子マネーをよく使う。しかも、電子マネーカードをレジの読取機に載せて支払いをする。手が震えるので読取機の上に置くのである。さらに毎月の利用額に応じて割引が用意されていることも利用促進に役立っている。毎月決まった金額を電子マネーに入金しておけば、その金額だけ使えばよく、計画的に支出できるというのも受けている理由だ。

年金生活者に向いたツールである。消費者センターで講演すると高齢の方によく参加していただく。電子マネーをもっている人はどれくらいいますかと聞くと、嬉しそうな顔をして手をあげる。九割くらいの人がスイカかパスモをもって会場までやってきている。人気の高さは明らかだ。なぜ高齢者が電子マネーを好むかというと非接触LCが清潔という点と、「かざせば」仕事をしてくれる点だろう。さらに自分が社会の最先端の技術に触れており、新しい時代に参加しているという喜びがあるからだ。まだ現役だという自信を電子マネーがもたせてくれる。