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クレジットカード業界「三つの逆風」

その一方で、逆風も強く吹いている。そのひとつが二〇〇六年十二月に成立した「改正貸金業法」であり、それによる規制強化である。多重債務者救済を目的に上限金利二九・二%が二〇%以下に引き下げられたが、その結果、キャッシング、ローンに頼ってきたクレジットカード会社を直撃し、その経営を危うくしている。法律そのものは一〇年に正式に施行されるが、それを待つまでもなく、すでに過払い金返還請求によって、各社とも自己資本比率が低下し、その体力を削がれている。危機的な状況に陥りつつある。

貸金業者の中にはクレディアのように倒産するところやビジネスモデルの破綻を宣言するところもでてきた。とくに消費者金融専業者への影響は大きく、中小規模事業者の多くは、大手への吸収を待つか、撤退するかを迫られている。クレジット業界は、これまでの「ぬるま湯」的状況に浸っていては生き残れないところまで追い込まれた。重大な転換点に立たされている。二つめの逆風が「メガバンク主導による再編」である。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループという三大メガバンクを中心としたリテール事業者(カード会社、消費者金融専業者)の獲得競争は最終段階を迎えている。折りからの改正貸金業法の成立もあって、カード会社は、ますます単独では生き残りが難しい状況になってきた。メガバンクの傘下に入って延命するしか道がないようにみえる。そこで、囲い込み、争奪戦争はさらに熾烈になっている。しかし、すべての業者がメガバンク主導でグループ化されることが本当に利用者のためになるかどうかは分からない。

あまりに銀行色が強くなりすぎるのは、これまでの日本の消費者信用業界の伝統を壊すことになり、多様性が失われるように思われる。三つめの逆風が「電子マネー陣営による攻勢」である。JR東日本やトヨタ、イオングループといった大企業が電子マネーに参入して、さらに自社のクレジットカードを絡めて大型提携戦略で、巨大な顧客基盤を作りつつある。これは決済を専業とする既存のカード会社にとっては、大きな脅威となりつつある。JR東日本といった新興勢力とどう付き合っていくべきか、電子マネーに対するスタンスをどうとるべきか、今後の課題になってきた。