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電子マネー陣営にはない「強み」

クレジットカード業界は、以上「貸金業法改正」「メガバンクの脅威」「電子マネー陣営の攻勢」の三つの逆風にさらされているが、とくに「電子マネーとの関係」は微妙にみえる。一見するとクレジットカードと電子マネーの両陣営はどちらもキャッシュレス社会の推進を標榜しているわけで、共に手を組む良好な関係にみえるが、実際にはそれほどでもない。最初から危うい関係にあったといえる。とくにクレジットカード陣営は、キャッシユレス化に関してはその道五十年のベテランで、自らが消費者信用分野のリーダーであり、盟主だという自負がある。七~八年前に突如として現れた電子マネーと同列に扱われるのは「心外」と内心思っているはずだ。

クレジットカード陣営の人たちがいつもいうのは信用の問題である。与信(その人の信用力に合わせて適正にお金を貸すこと)の能力かおるかどうかだ。電子マネーとの違いはまさにここにある。スイカやエディはそれぞれ二千万枚、四千万枚も発行されているといっても、これは審査がなく、誰でも持てる、つまり、みなにばらまいているカードで、その利用者は不特定多数だ。そして、これはクレジットカードの利用者とは全く別物なのだ。クレジットカードは信用で裏打ちされている。会員になるには厳しい審査があり、個々の信用情報をとことん調査する。その結果に従って会員にするかどうかを判定している。

また、会員にした場合にはいくらまでのお金を貸すかを判断する。したがって、誰にでもカードを発行しているのではなく、十分に信用があると認められた人に限って発行しており、その見極めのための技術やノウハウは独特のものがあり、五十年間の歳月をかけて蓄えたノウハウがある。それがあるから、これまで繁栄してきたといえる。だから、クレジットカードの会員は、選ばれた人たちであり、カード会社との関係は毎月の利用明細書の送付などで極めて緊密で、濃密といえるのだ。クレジットカードの発行枚数はそれほど伸びないが、顧客との関係を基盤に展開している。

「そうした関係を作るのに長い年月をかけているので、その点て電子マネー陣営と一緒にしてもらっては困る」との自負がある。とくに審査の技術や与信のノウハウについては電子マネー陣営には真似のできない領域といえる。ところが、現実はクレジットカード陣営の思い通りにはいかない。エディやスイカは読取機にかざすだけで支払いができるし、改札の扉があいて入場できる。その使いやすさが異常に受けてたちまちのうちに利用者が激増して躍進している。利用者にとっては、審査の無さが逆に魅力となって映っている。そのためクレジットカード選びの際でも電子マネーのついたものが欲しいとか、どの電子マネーと結び付いているのかが最も重要な基準になり始めている。

つまり、クレジットカードはいつのまにか電子マネーに従うツールになってしまっているのだ。電子マネー次第で選ばれたり、捨てられたりする存在になりつつある。このままではいずれクレジットカードは電子マネーにチャージするだけのものになってしまうだろう。こういう危機感がクレジットカード陣営には満ち満ちているのだ。この従属的な関係を何としても変えなければならないというのが、いまのクレジットカード陣営の悩みであり、願いであり、その妙案がなかなか見つからないのである。